自重、自らを重んじること。女性や男性など性別を問わず、年齢も問わず、個人事業主軽貨物ドライバーは自分の品性を保ち、卑下しないこと。言動を慎んで、軽はずみなことをしないこと。自分の健康に注意をし、身体を大切にすること。これらはお金とスキルを稼ぐ上でとても大事なことである。
軽貨物ドライバー業者として個人事業主という職を選んでいながら、社員雇用ドライバーのような安定した給与、すなわち収入の安定を求めている業務請負ドライバーがあちらこちらで見られます。
軽貨物ドライバー業者以外の職業全般では今後の収入アップが見込めないと考える人や自分の将来に希望が持てないと考える人は5割や6割を超えていると言われているようですし、末端の軽貨物ドライバーは半数以上が悲観的な収入状態に陥っていると考えるべきなのかも知れません。
では、何を以って軽貨物ドライバーの安定と考えるかですが、日本の平均年収は400万円前後ですので地域性や働き方で差異はあるものの、社員であれ、バイトであれ、業務請負であれ、経営者であれ、自分の稼ぎが日本の平均年収を超えているかどうかが一つの安定目安になろうかと思います。
ただし、業務請負ドライバーは社員雇用ではなく個人事業主であることを忘れてはいけません。配送ドライバーの1人である前に個人事業主なのです。
零細企業や個人事業主における事業の安定は衰退を意味します。
安定とは、落ち着いていて、変化の少ないことです。
もし、零細企業や個人営業の仕事が安定してしまったら事業はやがて先細りをして長続きしなくなってしまいます。
事実、安定を求めるような業務請負ドライバーは、失敗する余地のないことだけをやる、やり慣れたことだけをする、新しいことには手を出さない、という感じがどうしても滲み出てしまうので、低レベルなドライバーファーストの軽貨物ドライバー業者だと荷主企業や取引会社から見られてしまいます。
事業を安定させるには事業の成長しかなく、軽貨物運送事業での仕事も自らの新しい配送現場の経験でしか自己成長や新たな知見を獲得することはできません。
他人の参考情報など当てになりません。
新しい配送現場に入れば新しいことが次々と現れてくるものですが、思い通りいかない細かい点にいちいち反応せず、それらに順応する力と対応する力を育んでいかなければなりません。
不平不満や愚痴などを周囲に漏らすのは信頼感をネガティブにしていきます。
要するに業務請負で働く軽貨物ドライバーが安定を求めた姿勢で仕事をすると、自己成長を先送りする姿勢となってしまい、必然的に軽貨物ドライバー本人の将来を不安定にすることになりかねないわけです。
軽貨物運送の事業は明らかにスモールビジネスですから個人事業であろうと自分が描いた事業計画のレールから遠回りする動きをとるべきではありません。
そうでなくても多難の多い零細企業や個人事業主における事業で成功の近道はなかなか見つからないものです。
安定を求めるが故に自己成長を先送りする姿勢はプロ意識の欠如となり、稼ぎを安定したいと想いながら働く姿勢そのものが収入安定の悪循環に陥ってしまうのも現実です。
もちろん、誰しも新しい配送案件や、新しい現場での人間関係構築や、新しい仕事エリアでの稼働など、未知の仕事環境に対しては不安とストレスを覚えますが、個人事業主である以上、目をつぶってそれをどうにかやり過ごそうとしてはいけません。
成長意欲を忘れると、巷で働いている多くの軽貨物ドライバーのように自営業にも関わらずして既存の仕事にしがみつくしかなくなるのです。そうなってしまうと仕事上で更に強い不安とストレスを軽貨物ドライバー業者として覚えることになり、メンタルやモチベーション維持にも苦労します。
業務請負ドライバーは売上収入から大まかな諸経費を差し引いた金額が年収目安となります。ごく普通の軽貨物配送会社に配属して週5や週6で1日8から10時間のフルタイムで働けば平均年収はクリアできるはずです。
ただし、こうやって売上収入の安定を求める個人事業主の軽貨物ドライバーは大概、自営業という意識そのものの軸がずれていて、配送の仕事がスピーディに完璧にできようとも事業主として冷笑されます。
そして、法人のピンハネ軽貨物配送会社で鴨ネギ状態のドライバーと化すわけです。
ドライバーファーストなどと甘いことを言っているようでは社会人として全く話になりませんが、荷主様の事業があって配送の仕事はなんぼですので自営業の軽貨物配送ドライバーとしての収入や案件取引の安定性を望むには、相応の技量、ノウハウ、ドライバー経験年数ではない人としての信頼感が最低限必要になってきます。
また、委託ドライバーが頑張った分だけ稼げるなどというのはピンハネ軸の軽貨物配送会社による虚構です。
365日24時間ずっと止まらない物流の世界では、休んだ分だけお金が稼げない、休んだ分だけ本命から外れたドライバー業者へと落ちぶれる、というのが実態です。
個人事業主の軽貨物ドライバーは自分自身が事業主ですので、経営母体は国や地方公共団体ではありません。
業務請負ドライバーは夢の公務員ではないので、同じ仕事案件で古株になろうと年功序列で定期的に昇給することもありません。
業務請負の仕事では荷主企業にどんなに貢献しようとも単なる運送コストの中で働いているだけですから、社員雇用のように末永く業者請負の仕事が継続する保証など生まれません。
この通り、自営業は受け身のスタンスが身についてしまうと一寸先は闇という零細企業や個人事業ドライバーの世界で高収入を得て生き延びることはかなり難しくなります。
やはり、謙虚さや自重が大事なのです。私自身も意識していることですが、時には嫌な配送コースの内容もありますし、楽勝でラッキーという日もあります。そんなものだと考えながら配送仕事を熟すことが正解なんだと思われます。