事業には寿命があることを理解し、一つの事業が永遠ではないという意識を持ち、大切に配送の仕事を覚えながら毎日の配送仕事を楽しくこなしていくことで結果を出す。
個人事業主の軽貨物配送ドライバーは「今日の仕事内容で頭がいっぱい」という人が多い気がします。
軽配送仕事の中でも無線機を使う案件で配送業務を行っていると、遅配で厳しい戦いになろうとも頑張っているドライバーが多いことに気がつきますが、それには疑問を感じています。
懸命なのか、賢明なのか、です。
もちろん、私自身もハンドルを握る実運送ドライバーですので幾つかの案件では自分が担当する配送予定表を見ながら、一分一秒を争う意識で配送仕事に挑むことがあります。
異様に自分自身にプレッシャーを冷静にかけて、車に飾ってある御守りを触りながら、かなり急いで運転をしてしまっている日もあります。
- 懸命なドライバーは努力が必要。
- 賢明なドライバーは才能がある。
正直、ホテル納品や寺院や高層マンションなど納品するまでに時間がかかる配達先、路上駐車しか納品できない配達エリアなども想定以上に疲れます。
納品先のお客様と挨拶で少し会話をするときに配達の仕事は疲れますかと質問をされることがありますが、なかなか、一言では疲れ具合を説明できないものです。
勿論、仕事ですので疲れることを避けて通ろうとするのは難しいですが、毎日同じルートや同じエリアで配送するような仕事はかなり楽と言えます。
やや重い物であろうと、何件も何件も配達先があろうとも、楽です。それは、何だかんだ言っても同じエリアで慣れれば自分のペースで仕事ができるようになるからです。
配送で疲れるのは、毎日異なる配送先へ何件もスポット配送を時間指定でする仕事かも知れません。
ルート配送のような体力面の疲れだけでなく、スポット配送で土地勘のないところで時間指定と複数納品先を抱える仕事は神経と精神も消費します。路上駐車しかり、渋滞、防災センター受付しかり、手間も時間も、路上駐車禁止エリアではパーキング探しなども常にあるからです。
ルート配送は何年経験があっても所詮は配送ドライバーとしての才能と知恵は浅いままですが、運ぶ物が同じではなく、エリアも不特定で、スポット配送による時間指定を繰り返すような配送経験を積んでいるドライバーはかなり有力と言えます。
ノウハウを訓練するにはこれが一番ですが、軽貨物配送ドライバーは車を運転する仕事なので疲れは禁物であり、リフレッシュすることが大切な仕事と言えますが、時と場合、どうしても体力や精神や神経の疲労を翌日に持ち越すことがあります。
況してや、個人事業主でも規模は小さいながら会社経営者と同様ですから、船を漕ぎ続けなければ、宝島を見つけることすらできません。
あれやだ、これやだ、あいつの担当コースは楽だ、自分の配車はキツイ、割に合わない、このような波に影響しているようでは船は目標通りに進みません。
経営者や個人事業主は常に客観的にも自分を見なければなりませんが、自営の軽貨物ドライバーの場合、船を漕ぎ続けるような仕事をしてしまうと自分の体力は必ず消耗しますし、懸命になればなるほど精神や神経も削ります。
ただ、これが軽貨物ドライバーの現実ですので、軽めの意識で仕事をしている人もいますし、道端などで同類で群れたり、不平不満の情報交換レベルで傷を舐め合う感じのドライバーが大半ですが、それもある意味で仕方の無いことなのかも知れません。
私が自身でもハンドルを握って軽配送の仕事と事業を検証している限りでは、個人事業主の軽貨物配送ドライバーは「賢明な仕事スタンス」がかなり大事であると感じ取っています。
個人事業主としては賢くあり、ドライバーとしては堅実であるべきです。私たちシフタープロが配送ドライバーは仕事拡大よりも仕事拡充を目指すべきと意図している理由がここにあります。
私の場合、社会人となってから20年以上、事業で輸入貿易で海上コンテナ輸送や航空輸送の管理、デバンニング、倉庫からのデリバリー指図、在庫管理、入出庫管理や伝票処理、梱包ピックなど、一通りの責任者業務を経験してきたこともあって、如何にして配送ドライバーが滞りなく業務を遂行しなければならない本質的なことを理解しています。
メーカーや荷主は配送ドライバーのように商品を届けて、はい、お終い、ではありません。ドライバーとして直接の仕事に関係しないから知らないなどの知識不足は営業のシーンでは通用しません。
親身になってお客様の相談を受けることが営業では肝ですし、できるできないの正しい判断をするにしても自身の経験や知識はいつでも活かせます。
個人事業主+ドライバーであることをバランスよく再認識し、一緒くたにせず、「個人事業主として賢明なやり方」「ドライバーとして賢明なやり方」をイメージして着実に毎日の業務を行い続けるなどして、いざという時のために判断の良さは磨きをかけたいところです。
そうでもしない限り、ドライバーは単なる駒として使われ、大したお金を貰えない案などで、まさにコキ使われるだけとなります。そもそも、軽貨物の配送ドライバーは御用聞きの要素はある仕事ですので、仕事上で理不尽な要求やお願いも日常茶飯事です。
しかしながら、置かれた立場を卑屈に感じとるだけが仕事ではありません。
仕事でコキ使われるだけではなく、コキ使われ続けているならば、逆説で言うと「信頼されており、安心して仕事を任せられている」というように解釈することも悪くありません。
会社経営しかり、個人事業主しかり、信頼され安心して仕事を任せて貰えているなら「出世の準備段階」と捉えるべきと言えます。現状維持ではなく展開する時期です。
やはり、賢明な仕事スタンスが大事です。
軽配送業界は個人事業主ドライバーを苦しめている、ピンハネで粗利の計算ばかりを机上でしている軽貨物会社や運送会社も存在しますが、それはそれで全否定する必要はありません。
世の中、企業母体の規模が大きくなればなるほど粗利を雑にしてでも仕事を丸投げする傾向がありますので、うまく解釈(win-winなのか)し、営業センスがあるならばその辺りを直感する臭覚と言いますか腕も必要となるでしょう。
そもそも、軽貨物配送ドライバーが運んでいる商品のメーカーや荷主の大半が既存事業を延命させつつ、それとは別の売上収入で根幹になりうる事業やサービスを創出しようと挑戦しています。
一個配送して幾らとか直面する自分の目先ではなく、自営ドライバーならば、もう少し真面目に仕事をするべきです。
個人事業主の軽貨物ドライバーはチビチビと損得勘定でモノを言ったりせず、慣れで得意なエリアや楽な仕事案件ばかりを求めず、覚えるのが面倒でも新規案件に移行しなければ自営での強い活動は続いていかないでしょう。
ドライバーが運んでいる商品のメーカーや荷主の様々な事業では経済やトレンド、市場ニーズのちょっとした変化に伴い、求めるべき人材も求める頭脳も変わっていきます。そうやって大手や中堅企業は競争力を獲得するものです。
もちろん、企業規模や地域性もありますが、競争力のある優良企業ほど想像以上に事業スピードが加速することがありますから、その商売の末端に位置する配送ドライバーの仕事環境は不都合や不利が起こる周期がどんどん短くなると考えておくべきです。
メーカーや荷主に環境の変化があるだけで、ドライバーの配送仕事は薄くも厚くもなるのが当然です。
さて、余談ですが、もう、20年ほど昔、前職で某総合商社のカンパニー部長と会席の際に「フグの刺身を引くのはとても難しい」とお話しを頂いたことがありました。
商売では人やお金が集まるところを模索したり創出したりしますが、人の技術や努力などが垣間見える仕事についてお酒を交えた雑談だったと記憶しますが、それは、私が料理屋で注文したフグ刺しをお皿に盛られた外側から箸で戴いたときに指摘を受けた言葉です。
フグ刺しは、料理人がお皿に盛り付ける際に外側から並べるそうです。私は料理人でもないので詳しいことは今でもわかりません。
ただ、フグ刺しを食べる際は盛り付けの逆側から食べるのがマナーとされており、例外も当然ありますが、1人で食べる場合にはお皿に盛られた「内側」から食べ始めるのが相応しいとのことでした。
食べる者にとって味は変わりません。
しかしながら、お皿の内側から外側に円を描くようにして食べていくと、お皿に盛り付けられた形を崩しにくく、目で見て綺麗に食べ尽くす事ができるといった、仕事の例えを教わりました。
軽貨物ドライバーのような個人事業主であろうとも、会社経営者と同様にプロ意識で仕事する者は、自分の仕事領域で周囲の熟練者による技術がちりばめられた仕事の存在を感じとることができるスキルこそが、自分の事業を結実させる術の一つだと感じます。
それでも毎日の配送仕事は忙しくプレッシャーもかかるわけで、休日リフレッシュも忘れてはいけません。仕事は仲間と楽しく稼げれば最高です。