軽貨物ドライバーの青春時代と昭和レトロスペクティブ

昭和人間のような仕事イコール人生という生き方は今の時代も決して悪くはない。現役の軽貨物ドライバーとして忙しそうに見えても息抜きの時間をうまく作りながら仕事が忙しい状況を楽しめるほどに成長できれば後悔はしない。

昭和レトロ。

千葉県の街中で見かける黒ナンバーの軽貨物車に乗った軽貨物ドライバーはミドル層のおっさんやシニア層のお爺さんという感じの人が想像以上に多い。

私もおっさんである。

軽貨物配送の仲介会社が仕事丸投げで運賃ピンハネを目論んだドライバー求人募集で「未経験でも長く安定して〇〇万円を毎月稼げる」などと胡散臭いことを言っているが、個人事業主の軽貨物ドライバーで悠々自適な暮らしを手に入れているような人はかなり少ない。

また、委託ドライバーの数集めばかりする運賃ピンハネ多重下請け業者の中には「ドライバーの幸せを第一に」「ドライバーファースト」「好きな時だけ働ける」などと社員雇用ではないにも関わらず現実逃避のような訳の分からない大嘘な委託ドライバー求人募集も目にするが、家族や友人との時間を大切にできていて心にゆとりある生活を毎日送れているような個人事業主の軽貨物ドライバーなど見たことない。

業務請負で働く軽貨物ドライバーは、仕事は仕事、他人は他人、自分は自分、ブレずに実直に働いてなんぼ、である。

この世の中、世界的には絶対的貧困層は減少傾向のようだが先進国では貧困や格差拡大の問題が続いている。これはもちろん日本も例外ではない。

日本の場合は20年ほど前の内閣でバブル崩壊後の経済停滞から脱却するための起爆剤としてIT革命を推進してから今日までで「情報」が物質やエネルギーと同等以上の重要な資源と見られるようになってきた。

地方の商店や中小零細企業にまでIT化と電子商取引が進んできたことによってネッツ通販で地方の商品も買いやすくなって宅配業者や軽貨物ドライバーを必要とする集荷配送のニーズも高成長したかに見えるのだが、それはそれで軽貨物ドライバーの所得や雇用の格差を生んでいるのも事実となる。

マクロ的なことや格差変動のメカニズム的なことは詳しくわからないが、今の時代は昭和時代のような同質や平等な社会が広がろうとしている華やかな経済成長ではなく、格差と二極分化が広がっていく暗い経済成長のようにも感じる。

個人事業主であれ会社経営者であれ急速な経済発展による恩恵を受けるのはいつも一部の人だけ。

今の時代は昭和時代とは異なり、所得の格差はもう個人の努力では埋めがたいのも現実。

当然ながら学歴や職業地位による格差は今も昔も相変わらずの話であり、学歴が高ければ高い職業地位につきやすく高い所得にも結び付きやすい。

高学歴ではない学歴不問で働くような軽貨物ドライバーが高い所得を手に入れられる可能性はもちろん低い。

なお、所得の高い家庭の子供ほど学歴が高くなる傾向があり、所得の低い家庭の子供ほど学歴は低くなる傾向があって、所得の格差だけが今日の問題ではないが将来のために勉強しても意味がないと考えて育ってきた人は「今を楽しむほうがいい」という価値観をもつこととなろう。

現役の軽貨物ドライバーとして千葉県全域や埼玉県や神奈川県や東京都の街中を軽貨物車で走っているが、お陰様で忙しさの毎日に追われて季節の移ろいを感じる間もなく日々は過ぎ去っている。

日本では3ヶ月ごとに季節は変わってはいるものもの子供の頃のように四季の訪れによって気持ちをリセットやリフレッシュすることは軽貨物ドライバーにとってもかなり大切なことなのかも知れない。

とは言え、個人事業主の軽貨物ドライバーが今を楽しむなどと寝言を言うのも微妙に感じる。

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