個人事業主の軽貨物ドライバーによる法人成りの失敗は、そもそも、仕事能力しかなく、経営能力のない人間が個人事業の延長線上で経営を試みるだけでは事業展開に大きな期待ができないからである。
個人事業主から法人成りをして法人格で軽配送事業を進めていく場合、法人化での悪い面になる部分を十分に理解しておかなくてはなりません。
社会保険加入負担や均等割など税法上のことやお金のことは誰かがアドバイスしてくれるでしょう。
大事なことはそういうことではありません。
事業展開するための施策、そもそも事業地盤が脆い軽貨物配送の事業領域で継続的に収益を得るための仕組みや事業計画書が法人経営者の頭にビッシリとできあがっているのかどうかです。
そう、ビジネスモデルです。
この手のことは事業運営や法人経営の経験がない人に説いても意味がありませんが、零細企業に於ける経営者のビジネスモデルは組織力のある企業のビジネスモデルとは意味合いも変わってきます。
そもそも、個人事業主ドライバーが軽貨物配送の事業を法人化しようとする目論見は、その大半が、知り合いのドライバーを掻き集め、仕事をドライバーに斡旋し、ドライバーに働かせた配送業務の運賃をピンハネするという構図です。
配送の仕事をせずにマージンを抜くわけです。
法人成りをした軽貨物配送会社の経営者は配送ドライバーとして実務をしなくなり、配送の腕も落ち、顧客ニーズ感覚も鈍り、掻き集めた加盟ドライバーから運賃マージンを2割も3割も抜こうとするのが営業軸となって机の上でピンハネの計算ばかりするようになります。
大きな問題なのはハンドルを握って配送業務をしなくなる点です。
配送実務から遠ざかり、理念や仕組みで売上維持成長を考えるだけでは軽貨物配送の事業はいつしか停滞や衰退をし、売上自体はドライバー台数で伸ばせたとしても売上を伸ばす仕組みはいい感じで進化していきません。
個人事業主ドライバーとして実直に自分の行動で稼ぐことが面倒となり、他力本願での金儲けに目が眩み、そういった状況で法人成りで事業拡大を目論んでも、個人事業に毛が生えた程度の経営となります。
軽貨物配送会社の経営者は現役ドライバーでなければならない時代に突入しています。
荷主企業様のビジネスモデルも変化してきています。
過去、物流費はコストを減らしても企業が取り扱う製品の品質には影響が及ばない部分とされてきましたが、今の時代、成長企業はその考えを持たなくなってきています。
製品の原材料を安価にすれば品質が落ち、営業系や事務系の人件費を削れば顧客から何かしらの不満が出ます。
しかし、営業系や事務系の人件費削減は企業側で追求無くして利益を見出しにくい時代です。
結果、荷主企業側のサービス品質低下をフォローアップできる「個々の配送ドライバーの質」にコストをかける意味を理解してしてくるケースが増えてくると思います。
数ではなく質です。