担当した配送業務を終えて帰路に向かうとき軽貨物車で音楽を聴きながら缶コーヒーを飲んで車の窓を開けて心地よい風に当たりながら街中を眺めているほんの数分のリフレッシュ時間は身体と精神と神経の忙しさを忘れられる。
仕事の張り。
軽貨物の個人事業主ドライバーとして仕事の楽しみ方は人それぞれだが、恐らく、軽貨物の個人ドライバーは100人いればその100人がお金のために仕事をしてしまっている。
たしかに慈善事業ではない。
借金やローンや生活のお金に苦しんでいる軽貨物の個人ドライバーも、お金にゆとりのある軽貨物の個人ドライバーも、軽貨物ドライバーとしてやる仕事内容はみんな一緒で年功序列の影響も殆どない。
軽貨物ドライバーの職を自分がやりたくて就いた仕事であろうとなかろうとギリギリの生活を維持するために仕方なく軽貨物ドライバーとして働いている人もたくさんいるし、過去に職の事情を抱えて起死回生に向けて職の安定回復を真剣に目指そうとしている人もいる。
軽貨物配送業界は一般企業での雇用の法定労働時間である8時間越えでも働くのがドライバーの日常と言うか365日24時間ずっと止まらない物流の中で働いているので長時間労働は何ら珍しいことではない。
これが雇用されたドライバーだと違法労働のブラック状態なのは言うまでもないが、軽貨物ドライバーの場合その多くは運送会社に雇用されているわけでなく業務請負という外注業者として仕事を受注して稼ぐという働き方なので長時間労働は自己責任で可能。
寝る時間を切り売りする長時間労働の賛否は別としても個人事業主である以上はサラリーマン根性では通用しないし、やる気がなければお金も信頼も人並みに稼ぐことはできない。
また、他人と比べて配送能力が優秀であろうと道に詳しかろうとそんなことは自慢できることではない。
業務請負というのは責任仕事なので受注した仕事をスムーズに業務遂行できるのは当然のことだし、逆に、仕事のミスは誰かが面倒みてくれるものではなく業務不履行は損害賠償に直結するのも当たり前の責任範囲である。
優秀な個人ドライバー業者なのか駄目なドライバー業者なのかといった実力の差は仕事に対するやる気と持続性と耐性が物差しとなる。
個人事業主ドライバーはサラリーマンではないので、1日、1週間、1ヶ月、1年、自分なりに新しい努力を続けて新しい配送案件を経験で覚えて挑戦しながら計画的に売上収入をあげようとする考えがなければ収入安定すら維持できず、毎日変化のない日々が過ぎてしまって知らぬ間に歳をとって個人事業の勢いも衰退していくこととなる。
プロとして仕事の有り難みを理解できる実直な姿勢を極めていくには未経験領域の配送パターンをゼロ化するために新しい業務内容にも挑戦するわけだが新しいことへの取り組みはそこそこ苦労もする。
だが、新しい仕事をマスターすれば達成感を得られる。
このように個人事業主ドライバーにとって達成感を自ら得ようとする働きっぷりは個人事業が成長する上で必須なことであり、それができないならば個人事業主のドライバーである意味がない。自己成長の意欲がないならば社畜であろうとも法人の軽貨物配送会社やトラック運送会社の正社員ドライバーになればよい。
だが、仕事への意欲があろうと誰しもプライベートで疲れていれば仕事上でわざわざ新しいことへ挑戦する気になれないのも人間だし、みんながみんな同じ思想や同じ立ち位置で配送ドライバーの仕事をしているわけでもない。
仕事が楽しくないと思っている軽貨物ドライバーもいるだろうが仕事が楽しくないと思っている軽貨物ドライバーはただ単に仕事のやる気がない人間である。
やる気がないから仕事が楽しくないのである。楽しくないのは仕事内容や他人の責ではない。
やる気がなくても配送業務はできてしまうのでドライバー業者としての優秀さは側からは見分け難い部分もあるが、やる気のない軽貨物ドライバーは、誤魔化し、嘘、言い訳、不平不満、を周囲のドライバーに口走ることが徐々に増えてくるので仕事耐性が欠如した人間は容易く見抜ける。
やる気がパーフェクトではない未熟な軽貨物ドライバーは自身が担当する業務上のルールを無視して慣れてくると勝手に要領を口にして手を抜けるところは手を抜こうと考える癖があり、且つ、やる気のない軽貨物ドライバーは過信によるイージーミスを起こす。
やる気のない軽貨物ドライバーは仕事をやらされているという感情を人一倍異様に強く持っていて、自意識過剰、向上心が自分ではあると思っていても現実は他人より向上心が弱いという状況に気がついていない。
懐事情はどうであれ個人事業主ドライバーはお金の稼ぎだけで仕事を満足するようなことがあってはならないのだ。
何度もこの軽貨物ブログでは触れてきたが個人事業主の軽貨物ドライバーはお金を稼ぐことと信頼を稼ぐことを一緒くたにせず仕事に挑むべきであろう。
お金と信頼を稼いでいける取引関係の実績を高めていくことが何よりも大事なのだ。
インチキ臭い軽貨物配送ドライバーは運賃が高いとか安いとか自分に都合のいいことばかり期待をするが、受注する仕事の運賃が高い安いなどは所詮は高が知れているコストの範囲であって仕事案件を請け負う際にせこいお金は騒ぐテーマではない。
もちろん、お客様から仕事を請負する際に500円の運賃値上げすら差がでかいと言われるような取引関係は面白味がなく興味はない。
そういうクライアントは運賃の安い業者を探せばいいだけのこと。
反面、他社より500円を安くしようと1,000円を安くしようと「やるならやる」という本望を抱ける取引関係には興味がある。
信頼関係を築いていくべき取引先はお金ではなく経済原理の良識がある取引先なのかどうかで決まる。
正直、経済原理を考えられる軽貨物の個人事業主ドライバーは未無かと思うが、経済原理と考えた行動はスモールビジネスの事業主や経営者にとって大事な意識改善につながる。
軽貨物ドライバー業者としてお金を稼ぐことは決して難しいことではない。しかしながら簡単に信頼を稼ぐことはできない。丁寧な実績が求められる。
人を信頼し、人から信頼される、という取引環境はありそうで無い。人は裏切るし、会社も裏切る。
経済の末端で働く軽貨物ドライバー業者は頑張り損も日常茶飯事なので間抜け人間のままでは頑張っても頑張っても鴨ネギ状態で悔しい想いをするだろう。
経済は生きるための活動であって金儲けを指すものではなく、軽貨物ドライバーとして何を食べて、どんな家に住んで、どんな遊びをして、どんな仕事をするのか、が経済の話となる。
経済学は人間の一生を考える学問であって金儲けの術を学ぶことは本旨ではないと言われる。
人間臭くても生き様や生き方を仕事上で学んでいこうとすることは軽貨物の個人ドライバーにおいて大事なことだろう。
お金を多く稼いでいようとも仕事自体が本当に楽しいのかどうかと言えば決してそうでもない。
配送ドライバーの業務はピンポイントやオンタイムといった緊張感があって精神を使う時間が続くため仕事にワクワクしている余裕などない。
車の運転では神経も使い、荷物を持って納品先を探して走ったり急いだりして体力も使う。
朝に起きたときは前日の疲れが残っているし、夜に寝るときは疲れを少しでも抜きたいため仕事の楽しさを振り返るような時間も残っていない。1日1日が妙に短く感じるのは言うまでもない。
そんな中、全国で社会人の6割は仕事を楽しいと感じているらしく4割の人は仕事を楽しめる実力を持っていないようだ。
軽貨物ドライバーでも偶にいるが納品先でありがとうだとか感謝されるのが楽しいなどと腑抜けたことを言うのではなく、感謝されることではなく周囲の人を感謝できること自体を楽しめるようでなければならない。
自分の価値は周囲への貢献によって得られるもので個人の軽貨物ドライバーは信頼関係が好循環な稼働状態の維持成長で肝となる。