軽配送ではない仕事の経験だが20年近く世界の海や空を使った国際物流で海外企業との貿易実務や輸入通関など一連の責任業務に携わっていたこともあり日本の陸を使う軽チャーターの運送業者に足りていないサービスが何なのかを客観的に感じ取ることができている。
そもそもだが配送のニーズはメーカーや販売会社といった荷主企業のビジネスに存在するもの。
トラック運送会社に配送の仕事があるわけではない。当然、軽貨物会社に配送の仕事があるわけでもない。
メーカーや販売会社の「ビジネス」があるからこそ配送の仕事は存在している。
そのビジネスの存在で我々は飯を食わせてもらっているわけだがその荷主企業のビジネスを学びもせずに無関心や無知なまま配送業務をしている軽貨物ドライバーも少なくない。
そんな感じで単に働いている軽貨物ドライバーは荷主企業の生命線である商品を届けているという認識が薄れてしまい、何の商品か知らないが指図されたので荷物を届けている、届けたあとのことは関係ないので知らなくていい、という感覚で仕事に慣れてしまう。
ちょっとした意識の違いではあるが無意識はやがて無責任な配送を招く要因となるのでビジネスへの関心やビジネスの認識不足を軽々しく考えてはいけない。
仮にお弁当を配達しているドライバーならばお弁当そのものを丁寧に届ける感覚で納品をするのではなく、店主の味や美味しさをお客様一件一件に届ける意識を持つのが正しい。
もちろんその配送はお店や荷主企業の売上利益のためであり、お店や荷主企業の営業姿勢と同化する物流体制はとても大切なことだと私は常に感じている。
配送現場を客観的に見ているとドライバーは自分が運ぶ荷物が多いと嫌がるケースがとても多い。これは荷主企業と真逆の喜びで働いていることを意味するので荷物が多くて嫌がる感覚はかなり良くないことである。
運ぶ荷物が多いということは荷主企業の商品売上が好調で利益が増加している可能性もあるため本来ならな一緒になって出荷増を喜ばなければならない。
現実問題、そういった気持ちが歪になってしまうにも理由があるわけだが多くの配送仕事案件は運送マッチングサイトや利用運送会社といった荷物を運ばない運送会社を経由する多重下請けなので末端で汗をかいて働く軽貨物ドライバーはきちんとしたビジネスの座学を受けることすらできていない。
だが、多くの軽貨物業者や個人ドライバーは営業弱者であり大手宅配会社に仕事欲しさでぶら下がっているので荷主企業とは直接取引ができず、元請け会社や下請けや孫請け会社を介して配送の仕事を受注していることからも「やらされてる感」がどうしても強くなってしまう。
それらは他責ではなくドライバー自身がビジネスを勉強していないことに起因するので浅知恵でもよいがビジネスや物流や商流や流通について学ぶことを始めるべきだろう。
ビジネスモデルは無限にあるので勉強の課題で困ることはない。
我々の配送仕事では確かに学歴は必須ではないもののビジネスに精通していないと好条件で働く方法や安定した稼ぎを手に入れる土俵に立てないのが現実。
そう考えると運送会社が口にするドライバー不足とかは変な話である。運送会社が売上欲しさで何でもかんでも配送の仕事を稼働キャパシティ以上に唾をつけて受注しているからドライバー不足を招いているだけのこと。
自社でできない仕事は断ればドライバー不足になんかならない。
特に軽貨物の運送会社は協力会社がなければ配送仕事が回らないという脆弱な営業基盤に問題がある。
ドライバー不足を解消するならば量より質を選んでドライバーを減らして売上を縮小すればよい。もちろん経営の確度を見直していくべきとなる。
更に気持ち悪いのが軽貨物会社の中には色気を出して協力会社を探すような会社もあったりするが協力会社という名の下請けに仕事を丸投げして運賃をピンハネする経営体質や営業体質にこの業界の問題点が隠れてる。
我が国の物流全体を知っていくには現場も大事だが物流の大元にある国際物流の動きを意識しなければならない。
これは物流というよりも経済に関連する話となるが国際物流を知るには我が国の貿易収支を意識することが基本となる。
貿易収支は国として輸出と輸入の経済的バランスを示す重要な指標だが貿易黒字であれば輸出が輸入よりも多いことを意味して貿易黒字は経済にプラスの影響があるとされる。
貿易赤字であれば輸入が輸出よりも多いため経済にはマイナスの影響があると言われている。
全世界197ほどの中でも日本はトップ5に入る貿易赤字国だが日本の経済は輸入品に頼っていると思って間違いではない。
結果的に物流業界で運ばれている荷物は輸入品がとても多いことを意味する。
自分が運んでいる荷物が何なのかを考え始めることは優秀なドライバーとして成長する一歩でもある。荷物を届けてはいおしまい、荷物を届けてはいお駄賃ください、では情けない。