なぜ宅配ドライバーは報われない時代になったのか

どうして宅配系の委託ドライバーは頑張っても報われない時代になってしまったのか。

昔の仕事で昭和から平成にかけて全国出荷で取引していた〇〇通運や〇〇急便や〇〇〇運輸の担当ドライバーさんなんかは一昔前の話だがそこそこな額を稼いでいたような記憶もある。

当時、デイリーに事務所や倉庫へ荷物の集荷に来てくれるドライバーさんは汗をかいて身体から湯気を出しながら送り状の端末操作で手際よくラベルを荷物に貼ってトラックに何箱も荷物を手積みしてもらう感じで毎日が忙しそうだったがサラリーマンなんかより2倍や3倍は稼いでいる話をしていた。

昔の宅配ドライバーは稼げていたし夢もあったっぽい。

時は流れて私は軽貨物運送業を営んでいるが業務委託の宅配系ドライバーが仕事で稼げる単価と業務内容を釣り合わせたときバランスに違和感があるので私は宅配系の仕事は一切やっていない。

その他にもネットスーパーの商品配達ドライバー仕事なども消費者への送料無料販売のビジネスモデルそのものが何年も前から既に破綻しているのでネットスーパーや弁当の出前みたいな宅配系の仕事も私は一切やらない。

物流コストの皺寄せは末端にくるのが普通。送料値上げも元請けと一次請負にネコババされておしまいが普通。

これから新たに軽貨物の個人ドライバーになろうとしているビギナーで物流に関する知見や業務経験のない人で物流コストの皺寄せやネコババで煽りを食いたくないならば頑張れば稼げるなどと言って宅配仕事を斡旋してくる大手宅配会社のまわし者である下請け軽貨物委託会社には近寄らない方がよい。

荷物が多くてドライバー不足というよりもドライバーが直ぐに辞めて長く続かないからドライバー募集を繰り返しているといった見方が正解と言える。

更に加えると宅配は繁忙期と閑散期の影響を受けやすいので配送現場が暇になったり大手宅配会社の事業方針等に変更が生じれば委託ドライバー切りも日常茶飯事、繁忙期には奴隷状態となる。

聞こえは悪いが使い捨て委託ドライバーというやつである。

ネットスーパーや宅配便やネット通販の会社は自社でドライバーを正規雇用せずに軽貨物配送会社を利用して委託でドライバーを探すわけだがその骨端がさらに酷い。

名前のある軽貨物委託会社や運送マッチングサイトの会社は自社で荷物を運ばないのに仕事を受注して運賃をピンハネする。

そんな感じの荷物を運ばない運送会社が運送業界をどんどん悪くしている。

そうして個人事業主ドライバーは鴨葱ドライバー状態となってしまう。

荷主側ではそこそこの運賃を出しているが荷物を運ばないブローカーの運送マッチングサイト会社や利用運送の軽貨物会社が取引で絡んでしまった仕事案件はそれらに運賃を何割もピンハネされてしまう。

そういった多重下請け運送の案件で働く宅配系の個人事業主ドライバーはマージンを何割も抜かれて長時間労働のキツイ思いをすることとなる。

宅配の仕事自体は決して悪い仕事ではない。

宅配の仕事は化学式や実験研究のような答えの無い難題に挑む業務ではないので良くも悪くも運転免許証があって身体が健康的ならば誰にでもできると言っても過言ではない。

とは言っても私は感じるが宅配の仕事をやるなら月100万や150万くらいを最低でも安定して稼げないと話にならない。

腹黒い経営者のいる宅配系の下請け軽貨物委託会社は人材不足だとかほざいてドライバー募集をしていながら見ながらも経営陣は自分でハンドルすら握らずに孫請け委託ドライバーに労働をさせるだけ。

そもそも宅配便の利用者が荷物を送るとき小さな荷物でも1個1000円や2000円の送料を最低でも支払うのに最終的に納品先へ荷物を配達する委託ドライバーは荷物を運んで1個140円とかしかもらえないレベルの労働費である。

どこが何割もぼったくっているのか。

業務委託ドライバーがお金を稼ぐ環境は形を変えた薄利多売の状態である。荷物を沢山運べばお金が稼げると言うものの単価が異様に安すぎるので騙される感覚がある。

もちろん満足できるお金の稼ぎや仕事がキツいと感じる度合いは人それぞれ違う。だが共通して言えることは車を運転する仕事なので納品時間に追われるプレッシャーは結構キツい。車の運転が好きだからとかは通用しない。

行き慣れた場所や一回でも行ったことのある場所への納品であればプレッシャーはグンと下がるが、初めて行く場所や通ったことのない道路や渋滞の多い道路を通らなければならない場所への納品はプレッシャーが高まる。

過去に誰かしらが納品クレームを起こした納品先は納品の注意事項や制約や制限があったりするのでドライバーのプレッシャーは高まる。

軽自動車が一台しか通れないような細い道や一方通行や駐停車禁止エリアが絡んでくるとプレッシャーだけでなく事故や違反のリスクも高くなる。

納品作業が夕方以降で暗くなってくると日中とは景色がグンと変わるので見覚えのある場所さえも分かりにくくなってプレッシャーは高くなる。

納品で代引きで現金決済やカード決済があると余分に神経を使う。

様々にプレッシャーがあるのはどんな仕事でも当たり前のことだがプレッシャーの大小があっても運賃や時給換算や日当換算の稼ぎは変わらない。

委託ドライバー労働者に苦労を多くさせることで儲けているのは宅配会社や下請けの委託会社である。

宅配会社や委託会社は自社の利益のために事業をしているのでその会社の利益のために働きたくないドライバーは辞めればよいという話になるわけだが辞めて吉となることはない。所詮は委託切りで努力はお終い。

20年ほど昔の大型トラック運転手ならば月収100万円も珍しくはなかった。ガツガツ働くドライバーが多いで有名だった昔の〇〇急便ドライバーなんかも月収60万円や70万円の稼ぎもごく普通の話だった。

しかしながら今の時代は300万円から700万円ほどの年収らしく当時の半分くらいの稼ぎとなってしまったわけだが裏側に理由がある。

多重下請け運送問題はここから始まる。

昔の時代に汗を流して稼いでいた優秀な宅配ドライバーは今では下請け委託ドライバーを使ったピンハネの旨味を覚えてしまい汗をかいてドライバーの仕事をしなくなったのである。

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